膝痛闘病期(半月板損傷で手術が必要!?)

今回、突然の膝痛に悩まれて、病院で半月板損傷で手術!とまで言われた方が、筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の存在を知り、その治療をしたら痛みから回復され、結局半月板損傷という現象と痛みは全く別の話だった体験記ご本人から提供をしていただきました。

先日発表された、日本整形外科学会の腰痛診療ガイドラインでは「重い脊柱疾患(がん、外傷、感染など)の兆候が無い限り画像診断は不要。」と言っているように、膝痛も全く同じだと思います。私のケース、この方のケースを含めて、画像診断によってわかる神経、骨の変形と痛みの間に因果関係があるのか甚だ疑問です。

膝痛に悩まされている方は是非参考にしてみてください。

プロフィール

  • 男性
  • 発症時期 35歳
  • 職業 薬剤師

発症まで ~2011年4月

私は、2004年以来ウエイトトレーニングをしています。発症する前までは、スクワットで180kgくらいの重さを扱っていました。それで左膝に痛みが出たことがありませんでした。

2009年11月ころからボウリングにもはまりました。一番多いときは週に2、3回くらい10ゲームをほとんど休憩なして、狂ったように投げ続けました。ボウリングをしているとき私は右利きなので左の太ももとお尻が筋肉痛になっていましたが、まったく関節に痛みはありませんでした。ただ気付くと左ひざが鳴る(ポキポキではなくて、ゴクンゴクンという感じ)ようになっていました。日ごろから筋肉痛になってもストレッチなどせず、体も硬い方でした。

膝痛の発症 2011年4月22日

まさに突然異変をきたしました。その日は土曜日で次の日が町内の運動会で、私は会場設営を手伝うために町内グランドを歩いていました。急に、左膝の内部に鈍痛は走りました。気持ち悪さを感じて、屈伸を行いましたが鈍痛は取れず、ズキズキ痛み出しました。しかし後の状態のような動作に伴い痛みはそのときは出ていませんでした。

膝痛の慢性化 2011年4月~2012年9月

膝の痛みが出てからもトレーニングをしました。ところが徐々に痛みは強くなり、しゃがむと痛みが出て80kgくらいのスクワットも厳しくなりました。半月板損傷のことは知っていたので、とうとう私もそうなってしまったかと思っていました。ちなみに正座はできました。初めて痛みが出てから日を重ねるごとに症状は悪化していきました。最初は単なる鈍痛だけが、左足を踏み出して着地をするときに激痛が走る。いすから立ち上がるときいすを引く動作でも激痛が走る。片足とびができないなどの症状が出てきたため病院を受診しました。ただ正確な日はわかりませんが、意識して左ひざの負担を軽くして生活するようになってからは着地の激痛、いすを引く動作での激痛はなくなり、屈伸をするときに左膝外側に痛みが出るだけになりました。左足に負担をかけない結果、眼で見て分かるほど、左大腿部の筋肉が減ってしまいました。

病院を受診① 2011年6月18日

一般の整形外科を受診しました。MRIをその日のうちにとってくれ、その結果、半月板損傷、骨にも障害が出ているとのことでした。ただ膝の外側が痛いといっているのに内側半月板損傷といわれるだけ、いまいち納得がいきませんでした。手術したらよくなりますかと聞くと、「歩けなくなったら手術。」と告げられました。蛇足ですが「もう二度とスクワットはできないね」とニヤッと笑いながら言われました。「そうですねー。」といいましたが、かなり不愉快でした。

薬ももらいました。セレコックス錠100mg(痛み止め)とガスロン錠(胃薬)でした。飲んでみましたが、1日目はよく効きましたが、動作痛は軽減されず。2日目以降はまったく症状が変わらないので、やめました。

整骨院を受診

ネットで他の膝治療を探しました。その治療法では半月板損傷では半月板自体から痛みは出ない。ということで、筋肉からアプローチする両方でした。内容としては痛みの出ている膝外側、腓骨頭から外側広筋の下部、半腱様筋、半膜様筋の腱のところをほぐすような治療法でした。施術してくれた柔整師は「膝痛は簡単、すぐに良くなります。」といっていましたが、3回くらい治療を受け全く改善する兆しがなくて通うのやめてしまいました。やっぱりそれほど悪いのかとも思いました。

病院を受診② 2012年8月19日

発症してから1年4ヶ月がたちました。もうトレーニングができないのかと落胆する日々が続いていたので、今度は膝関節今日の手術例数が多く、日帰り手術ができる結構有名な病院を受診しました。

そちらでもその日のうちにMRIを撮ってもらいました。診断結果は外側、内側半月板損傷。骨が壊死しているとのことでした。担当してくれた医師からは「手術を受けても痛みが取れないかも知れない、いずれはこれ(人工関節)かもしれません。」といわれて、目の前で人工関節をチリンチリン鳴らされました。手術は早くても11月で、電話で予約してくださいといわれました。まあ覚悟はしていましたが、やっぱりダメなんだろうなとおもいました。

納得いかないから

手術を受けようかなと半ば決心していましたが、どうも納得がいきません。手術を否定する医師の意見はないのだろうかと思いました。その意見の道理が通っているならその治療を受けてみようと思いネットで検索してみました。

MPSの概念との出会い

整形外科の医師だと、あまり変わった見方はしていないだろうと思ったので、まず麻酔科をいろいろ調べていましたが、あまりこれだ!というのはなかったです。それでyahoo!知恵袋でいろいろ見ていたら、トリガーポイント注射を言うものを知りました。なんか胡散臭いなーと思いながらも、それから、加茂整形外科、MPS研究会のページを読んでみました。内容はわかりやすく、また筋が通っているとなんとなく感じました。そこでその中で自分が通える範囲のクリニックがあったので、他に選択肢もないしとりあえずダメなら、おとなしく手術を受けようと思い受診しました。

丁寧だったクリニックの問診、診察 平成24年9月2日

そのクリニックに電話をして、内容を聞いたところ予約なしでも今日来てくださいといわれ受診しました。問診表から大変丁寧で自分の症状をすべて記載しました。その後、医師の診察室に入りました。症状を説明した後、医師から筋筋膜性疼痛と、整形外科治療についての説明がありました。ちょっと予習はしていましたが、あまりよく話はわからず。本当に良くなるのかなーと思いながら、治療室に入りました(先生すみません)。

不思議な感覚

まず触診です。外側広筋の下のほうと大腿筋膜張筋or外側広筋の起始部あたりを指圧。先生から説明があったとおり、膝に鈍痛みというか、モヤモヤした感じが再現されます。次に、刺鍼です。鍼を刺すたびに、鍼を刺した直下の筋肉がビキーンとなり、それから膝の痛みが再現されます。なんか不思議だなーと他人事のように感じていました。鍼を刺す間も先生から反応を聞かれ、自分の反応を答えていました。鍼を刺し終わり(15本)、置鍼となり45分寝ていました。

トリガーポイント鍼療法の絶大な効果

その後反応を確かめながら鍼を抜かれ、先生とまた話になりました。「屈伸をしてみてください。」どうせ変わらないのだろうなーと思いながら(先生すみません) 、恐る恐る屈伸をしてみました。あれ!痛くない。いつもの痛みがまったくありません。鍼を刺していたところが、がっつり脚のトレーニングをした時の筋肉痛のときのような感じで若干屈伸はしにくいですが、まったく動作痛が出ません。びっくりしました。その後先生から再度説明がありました。ものすごく、丁寧に説明をしてくださり、また勇気付けてくださいました。

家に帰ってからも、治療の余韻に浸っていました。今まで怖くてできなかった片足とびもしてみました。やっぱり痛みはありません。あまりの効果に驚きました。

少し痛みは戻るが・・・

クリニックで治療を受けた後に「治療を受けて3日くらいで、症状が再発することもある。」と先生から説明を受けていて戦々恐々としていましたが、全く痛みが出ませんでした。治療を受けてから、1日1日起きるたびに膝の調子が悪くなってるんじゃないのかと不安になりましたが、問題はありませんでした。毎日、片足とびをして痛みが出ないか確認もしていました。治療3日目の朝に屈伸をしてみたら少し痛みが出ましたが、その後は全く問題がなく、そのときの痛みも以前の痛みの10分の1以下の痛みでした。治療を受けたら改善するんだという安心感もあってか痛みが戻っても全く気になりません。

ついにトレーニング再開 9月10日

2回目の治療は9月8日でしたが、先生から「トレーニングはした?」といわれました。もうしていいのかとちょっと驚きましたが、同時にうれしくなりました。

9月10日、ついにスクワットをまた始めました。治療を受けてからたった9日しかたっていません。最初は、怖かったので50kgからはじめましたがまったく痛みはありませんでした。膝をいためてから1年半、もう一度スクワットが出来るとは夢にも思っていませんでした。50kgなんて軽すぎてやったこともありませんが、無負荷のスクワットすら5回やったら2,3日痛かったのが、ウソのようです。

その後

9/1以降、左内側広筋、左外側広筋、左小中殿筋の治療を受けました。右ひざも少し痛みがあったので右小中殿筋、など1週おきに治療を受けました。痛みはもうほとんどなく、クリニックで教わったストレッチをすると、きちんと筋が伸びて行く感じがして前よりも可動域が広がりました。今は右股関節の動きが悪いのでそちらを集中的に診てもらっています。痛みについてはたまに腓骨頭、頚骨外側顆辺りになんとなく違和感が出るときはありますが、ストレッチしたりすると痛みがなくなります。スクワットも140kgまで戻りました。

最後に

私の場合、自分の職業を通して整形外科の手術というものの限界を感じていました。またそれで仕方がないだろうとも思っていました。MPSを知ったとき、「膝の軟骨、軟骨下の骨に痛みを感じる神経の分布がない。」というので、従来の説明がデタラメなんじゃないかと感じ、即座に考えを変えることができました。この思考の切り替えができて本当に良かったと思います。


更新日/Modifed :2013-01-27 (日)
作成日/Posted :2013-01-27 (日)